取扱業務

離婚問題

離婚は、夫婦関係の解消や親権者の指定という身分関係についての問題であることに加え、養育費、財産分与や慰謝料の請求など、資産や金銭をめぐる問題が生じることもありますので、考えなければならないポイントが多岐にわたります。

1.離婚のための手続

大きく、話合いによる離婚(協議離婚)、調停での離婚(調停離婚)、裁判での離婚(裁判離婚)の3種類があります。

1-1. 協議離婚

まずは、夫婦間で離婚すること自体や離婚に伴う条件(親権、養育費等)について話し合い、その結果合意に至ることができれば、離婚届に夫婦がそれぞれ署名押印し、役所に届け出ます。

離婚に伴う条件については、合意内容を明確にしておくため、離婚協議書を作成することが望ましいです。特に、養育費等、継続的な金銭給付を合意する場合には、約束通りの支払いが継続されない場合に備え、合意書を公正証書化して、すぐに強制執行の手続に移れるようにしておくべきでしょう。

調停前の離婚交渉や、離婚合意書の作成等を弁護士に委任することもできます。

1-2. 調停離婚

夫婦間での協議がまとまらない場合には、まずは、家庭裁判所に離婚を求めて調停の申し立てることになります。現行法の下では、離婚についてはいきなり訴訟を起こすことはできず、離婚調停を経ることが必要とされています(調停前置主義)。

調停の申立ては、夫婦が合意で定めた家庭裁判所又は相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に行う必要があります。申立手数料(印紙代実費)は、1,200円です。

調停は、審判官と男女ペアの調停委員の3名で構成される調停委員会が担当し、調停委員に対して夫婦がそれぞれ言い分を伝える方法で進められます。調停期日は、概ね月に1回のペースで組まれます。

調停も、あくまで話し合いによる解決を目指すものですので、調停委員が一定の解決方法を提案、推奨したとしても、両当事者が最終的に合意をしなければ、調停は成立しません。

話し合いの結果、離婚する旨の調停(合意)が成立すると、合意内容を文面にした調停調書が作成され、ただちに離婚の効果が発生します。その後、調停成立から10日以内に、調停調書の謄本を添付して役所に届け出る必要があります。調停調書は確定した裁判の判決と同じ効力があり、強制執行を行うこともできます。

他方、相手が離婚の条件に応じず、またそもそも調停期日に不出頭であっため、話し合いがつかない場合は、調停は取下げか不成立で終了となります。

1-3. 裁判離婚

離婚調停を行っても、離婚自体あるいは離婚条件について夫婦間で合意に至らない場合、最終的には家庭裁判所に訴訟を起こして離婚等を求めます。

先述のとおり、現行法のもとでは、いきなり離婚の訴訟を起こすことはできず、調停を先に行う必要があります(調停前置主義)。

離婚訴訟の提起は、原告又は被告の住所地を管轄する家庭裁判所に対して訴状を提出して行います。

当事者間で離婚について合意ができていない場合に、夫婦の一方の請求によって離婚が認められるためには、民法が規定する以下のいずれかの離婚原因が必要です。

1-3-1. 不貞行為

婚姻外の異性と性的関係を結ぶことです。


1-3-2. 悪意の遺棄

婚姻倫理からみて非難される態様で、夫婦の義務である同居、協力、扶助義務に違反する行為をすることです。


1-3-3. 3年以上の生死不明

配偶者が3年以上、生死が不明である状況が継続する場合です。


1-3-4. 回復の見込みのない強度の精神病

夫婦の一方が精神病に罹患し、夫婦間に精神的な交流が失われているような場合です。


1-3-5. その他婚姻を継続し難い重大な事由

婚姻関係が回復困難な程度に破綻している場合をいいます。

具体的には、長期の別居、暴力、虐待、不就労、浪費、借金、犯罪行為、過度の宗教活動、親族との不和、性格の不一致などが裁判で主張されます。

上の(1)~(4)までの離婚原因と違い、非定型的な離婚原因ですので、裁判では、さまざまな事情を総合的に考慮して判断されるのが通常です。


離婚を認める判決が出て確定すれば、判決の日に離婚が成立します。確定後に、判決の謄本を添付して、役所に届け出ることが必要です。

2.離婚に付随して争われるもの

2-1. 親権

夫婦の間に未成年の子供がいる場合、離婚時に、子供の親権者を定める必要があります。

父母のどちらを親権者に指定するかについては、子供の利益・福祉の観点を基準として、さまざまな事情が総合的に考慮されます。具体的には、父母側の事情として、監護能力、経済状況、居住環境、これまでの監護状況、親族の援助の可能性等が、また、子供の側の事情として、年齢、性別、心身の発育状況、子供の意思、父母との情緒的結びつき等が問題とされます。

2-2. 養育費

離婚後に子どもを育てる親は、他方の親に対し、子どもの養育費を請求することができます。養育費は、両親それぞれの収入を基礎にして計算しますが、実務では、双方の収入額に照らした場合の標準的な養育費の額を表にしたもの(養育費算定表)が参考とされています。収入については、直近の源泉徴収票や課税証明書で確認しますが、相手が資料の提出に協力してくれないときは、勤務先に裁判所を介して年収について調査したり(調査嘱託)、賃金センサスを使って推計します。

2-3. 面会交流

別居中や、離婚後において、子供を監護養育していない親(非監護親)が子供と会うことを面会交流といいます。

調停・審判で定めた面会交流がうまくいかなくなった場合、(1)履行勧告(家庭裁判所から義務者に約束を守るように勧告してもらいます。書面でも口頭でも申立ができます。)、(2)改めて調停を起こして話し合う、(3)強制執行の申立をするなどの方法があります。

ただし、(3)強制執行については、調停条項の内容によってはできない場合がありますので注意が必要です。

2-4. 財産分与

婚姻期間中に夫婦で築いた財産(預貯金、土地建物、自動車、生命保険、株式等)を清算することを財産分与といいます。財産分与の意味合いとしては、夫婦財産の清算、離婚後の扶養、離婚による慰謝料の3つがあるとされています。

婚姻中に取得した財産は、原則として夫婦が協力して形成したものであり、形成の寄与は平等とされます。すなわち、夫婦は、婚姻後形成した財産に対して、それぞれ2分の1の権利を有することになります(「2分の1ルール」)。

これに対して、夫婦の一方の財産として扱われるものもあります(特有財産)。例えば、婚姻前の預貯金、相続や贈与によって得た財産がこれにあたります。
財産分与の対象財産があるか否かを明らかにするためには、相手方に、不動産登記簿謄本、預貯金の通帳、株式等の取引明細書等を提出させる必要があります。相手方に資料の提供に協力してもらえない場合、弁護士会の照会手続や家庭裁判所の調査嘱託手続等により銀行等に調査を依頼して調べる必要がありますが、金融機関が特定されていないと、上記のような手続をとることはできません。

2-5. 慰謝料

相手方の浮気、暴力などが原因で離婚に至った場合、相手方に対して慰謝料の請求をすることができます。慰謝料の額は、婚姻期間、未成熟子の有無、相手方の有責性の程度、資産状況等を総合考慮して判断されます。

2-6. 年金分割

厚生年金保険等の被用者年金に係る報酬比例部分の年金額の算定の基礎となる標準報酬等について、夫婦であった者の合意又は裁判により分割割合を定め、その定めに基づいて、夫婦であった者の一方の請求により、厚生労働大臣等が、標準報酬額の改定又は決定を行うことを、離婚時年金分割制度といいます。離婚時年金分割には、合意分割及び3号分割の2種類があります。年金分割の請求にあたっては、年金事務所から、年金分割のための情報通知書を取得する必要があります。

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